公民館講座「消費増税と地域経済」2014年06月18日

 知人の公民館講座推進員さんから案内されて、彼の担当の講座「消費増税と地域経済」を受講した。講師は神戸新聞経済部長の藤井洋一氏である。堅いテーマだけに受講者数は多くは期待できない。それでも高齢の男性を中心に21名の受講者があった。

 消費増税の景気への懸念はひとまず回避された。4月の物価指数は2%上昇しデフレ脱却の兆しがある。企業の景況感も前向きな受け止めが過半数でアベノミクスへの期待感もある。次の焦点は来年10月の消費税10%への第2弾の増税判断になる。
 こうしたプラス評価の見方の半面で、平成26年度予算案は税収50兆円、借金41兆円の膨張予算で、消費増税分5兆円の内、社会保障費はわずか1兆円増に過ぎない。消費増税の目的だった社会保障改革と財政再建は置き忘れられた観がある。2020年度の達成目標だったプライマリーバランス(基礎的財政収支)も実現は困難な状況にある。消費税が10%になっても年金収支の改善は見込めず、支給額削減や支給年齢引き下げ、保険料引き上げが検討されている。
 こうした流れの中で、安倍政権は、国民生活の負担増とは裏腹に、農業・医療の規制緩和等の成長戦略や法人税減税などの経済成長重視の政策に再び舵を切った。

 講座の概略は以上のようなことだった。予定時間を15分早く終えて質問時間となった。予想に反して数人の受講者から質問があった。年金生活者の立場からの低金利のままの消費増税への疑問などである。私からも「グローバル経済下で市場経済重視の成長戦略に突き進むアベノミクスのマイナス要素も大きい筈。メディアはそうした負の側面にも焦点を当てるべきではないか」と質問した。「グローバル経済に生き残ることばかりが重視されている点は否めないが、グローバル経済に対応できない生き方しかできない人も大勢いる。個人的には多様な選択肢が容認される必要があると思う」といった回答が返された。