超高齢社会の現実と『地域力』2014年07月27日

 日本は2007年に高齢化率21%を超え超高齢社会を迎えた。昨年統計では25%と4人に1人が高齢者となり高齢化の加速化が著しい。更に2025年には団塊世代の全員が後期高齢者となり、医療、介護、その他の高齢者ケアのサービス需要が一気に高まる。いわゆる2025年問題である。
 こうした事態に向けて厚生労働省は「地域包括ケアシステムの実現」を打ち出した。「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現」しようという狙いである。2015年度の介護保険制度改革の「医療から介護へ、施設から在宅へ」という点もこの流れを受けたものといえる。
 地域包括ケアシステムの構想は、少子高齢化と国と自治体の財政逼迫という事情のもとで、高齢者ケアの課題を地域住民や住民組織にも分担をさせようという狙いがあることは否めない。とはいえその点の批判に終始しているだけでは問題解決が望めないのも現実である。差し迫った問題として行政施策や制度のはざまにある困り事が多々ある。行政任せでない地域での主体的な福祉取組みが可能な環境を整えねばならない。地域の問題は地域でも対応するという覚悟と、そのための組織の整備が迫られている。
 何よりも社協分区をはじめ、自治会、老人会、民生委員などの高齢者福祉に関わる組織や機能の連携が不可欠である。縦割りの取組みや機能に横串を通して相互の情報や活動を効果的に展開できるネットワークづくりが求められている。ネットワークへの地域包括センターやケアマネージャー、ヘルパー、訪問診療医師などの専門職や介護施設等の地域の事業者からの情報や助言も欠かせない。
 地域包括ケアシステム構想の机上の空論的なきれいごとの部分はさておくにしても、高齢者ケアを取巻く環境や要素の整理という点では意味がある。地域包括ケアに求められるニーズやサービスは画一的ではない。日常生活圏域での特有の実態や事情を加味したケアやサービスが欠かせない。そうした点は地域住民や住民組織自身でカバーする他はない。地域特性に応じたケアやニーズをサポートしていける『地域力』こそが問われているのではあるまいか。