高齢化と住宅街の空地管理の無責任2015年09月06日

 民生委員の担当地区を、敬老のつどいの案内状のポスティングをしていた。あるお宅の年配の奥さんから声を掛けられた。隣接する空き地の雑草や樹木による被害の訴えだった。現場に赴き実態を確認しながら次のような事情を訊きとった。
 「くだんの空き地は宅地開発以来の空き地である。所有者は過去一度も草刈りをやったことがない。何度か市役所に掛け合ったが、所有者に通知し対応を指導すると回答があるだけで草刈りが実施されたためしはない。次々に転売されて所有者の責任感が希薄になっているという事情もあるようだ。やむなく近隣住民が年一回一緒に草刈りをしてきた。ところが近隣住民の高齢化が進み草刈りの負担が過重になってきた。宅地周りの植木が大きくなって隣接住宅への落ち葉被害も甚大になってきた。道路側の大木の枝が電線に架かるようになり暴風雨の際の災害の危険もでてきた。所有者でもない住民が樹木の伐採までは手が出せない。ここまでになっても市役所は所有者任せで抜本策を講じてもらえないのか」。 
 もっともな訴えだと思ったが、解決の難しさも予想できた。その後、社協の関係者に事情を話すと、住宅街のあちこちで似たような状況があり、近隣住民が困っていると聞かされた。そこで市の関係者に問い合わせて、以下のような見解を訊きだした。
 「市役所としては民間の空地問題では所有者を特定し、環境保全の措置を講じるよう指導することしか現状では手を打てない。一歩踏み込んだとしても所有者の費用負担を条件に、市役所が業者に草刈り等の作業を委託することが精いっぱいだ。ただ地区のあちこちで同じような問題が発生しているならその実態を整理し自治会が地区住民の意向をまとめて市に訴えるということを考えてはどうか」。
 高齢化問題の新たな課題が浮上した。自治会とも連携して福祉ネットで対応を検討してみよう。