会場いっぱいの地域で初めての認知症講座2015年09月21日

 住宅街のコミュニティセンターのホールいっぱいの60名近い受講者がつめかけた。テーブルを撤去し備え付けのパイプ椅子すべてを並べて万全の準備を整えた。その椅子席すらも間に合わず倉庫の丸椅子を追加してしのいだ。
 社協分区が主催し福祉ネット北六甲が協力して開催した初めての福祉講座「シリーズ・基礎から学ぶ認知症講座」だった。従来の福祉講座は最大30名程度の受講者だった。今回の会場いっぱいの受講者の顔ぶれが新たな試みが奏功したことを裏づけていた。従来のおなじみの顔ぶれだけでなく20代の男性やそのお母さんらしき人、介護者らしき中年の主婦、最寄りの福祉法人のスタッフたち、旧地区の顔馴染みのおばあちゃんなど初めてみる顔ぶれの多さが目についた。シルバーウィーク二日目の開催に不安もあったが現役世代の受講も期待しての日程設定が結果的には良かったのかもしれない。また地域で初めての認知症講座ということで認知症についての関心の深さを物語っていたとも思える。
 2回に渡る認知症講座の今回第一回は認知症サポーター養成講座を兼ねて「認知症のイロハとサポーターの実務」をテーマに講演して頂いた。講師は訪問看護センターに所属する訪問看護士の中島淳美氏である。認知症患者等の訪問看護の現場で在宅ケアの豊富な実践に裏付けられた知識と経験をユーモアを交えて1時間半余りに渡って楽しくお話し頂いた。「認知症とは何か」「加齢による物忘れとの違いは」「アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症等の分類」「記憶障害、見当識障害、判断力低下という中核症状」「接し方の心得(驚かせない、急がせない、自尊心を傷つけない)」「コミュニケーションの取り方(不安をとりのぞく、本人のペースにあわせる、目を見て話す、感情の交流を大切に、聴くこと・待つこと)」等々、基礎知識についてもしっかり学習した。
 結びの言葉は次のよう逸話で締めくくられた。認知症患者に何といって声を掛ければよいか戸惑うサポーターにある認知症患者が次のように答えた。「記憶に残るのはあなたが何を言ったかではなく、どんなふうに話したかということです。私たちは感情はわかるが、話の筋道は分からない。あなたの微笑み、あなたの笑い声、私たちにふれるあなたの手が、私たちに通じるのです」。