医療関係者たちの素人「終活劇」2016年11月15日

 つどい場”あん”で神戸市北区の訪問看護センター勤務の看護師さんから興味深いイベントを紹介された。北区の在宅医療・介護連携支援センター主催で北神区民センター(ありまホール)で「終活劇」が上演されるという。出演者や製作スタッフは全てセンターに所属する現役の医療・介護の関係者である。
 その「終活劇」を家内と一緒に観劇してきた。2時の開演前のありまホールは立見席が出るほどで定員500名を超える盛況だった。4幕にプロローグとエピローグのついた2時間もの本格的な舞台だった。出演者45名は開業医、歯科医師、看護師、ケアマネ、薬剤師、社会福祉士、社協職員に現職の葬祭業ディレクター、警察官、消防署救急隊員なども加わっている。8月からの特訓で上演にまでこぎつけたという。当然ながら演技はお世辞にも上手とは言えない。中には堂々とカンニングペーパーを見ながらのせりふを読む強者もいる。それはそれで観客を沸かせている。脚本はなかなかのもので随所に笑いネタも折り込んで舞台を盛り上げている。素人演劇でもあり上演中の写真撮影もOKということでスマホ写真を遠慮なく撮らせてもらった。
 演技の出来栄えは別にしても上演テーマはシリアスで考えさせられるものだった。エンディングノートの重要性、安心シート(安心キットの神戸市版)のPR、救急隊の救急現場の実態、多死社会での病院看取りの困難さ、自宅看取りの心構え、訪問診療の一日、訪問歯科診療の事例と自分で食べられることの大切さ、終末期に本人の意に反して救急車を呼ぶことの問題点、在宅死で警察が関与する事例、リビングウイル、終活についての家族会議等々である。
 大いに笑い、大いに考えさせられた。帰路の車中で家内と子どもたち家族も加わった我が家の家族会議の在り方などを語り合った。