人生の出会いと縁(えにし)の不思議2017年12月13日

 35年前のことである。出身企業の労組委員長に就任したばかりの私は、毎月1回、それまで全く縁もゆかりもなかった山形に一泊二日で訪問することになった。丸1年間、同じ流通業界の結成直後の労組の研修会の講師を務めた。委員長就任前の上部団体事務局次長としての役割を全うするための活動だった。それは新たな労組の基盤づくりに向けて私自身の労組結成の体験を通して得られた知識と経験を注ぎ込むというやりがいのある充実した活動でもあった。
 今年6月に東京のさる私立大学の経済学部教授とお会いした。我が国のチェーンストアの労使関係についての研究者で、1970年代から1980年代のチェーンストア労働界や出身労組の動向についてのインタビュー取材だった。途中から取材の枠を外れて個人的な歓談に花が咲き大いに意気投合した。
 先日、その教授から突然の電話があった。連絡内容は思いがけないものだった。教授の取材先が山形のくだんの労組ににまで及んだとのこと。取材対象者である結成当時のメンバーたちとの懇談の場で共通の知人として私の話題に花が咲いたようだ。その流れで一気に教授をまじえて彼らと私との再会の場が企画されたという。教授の連絡はその打診だった。私にとっても嬉しい便りで異存はない。日程調整の上、来年二月に山形での再会が固まった。
 それにつけても、人生の出会いと縁(えにし)の不思議を痛感させられた出来事である。因縁生起の理(ことわり)を想った。