地域コミュニティ再生のグランドデザイン③2021年09月08日

 自治会は地域コミュニティの基盤であり基礎的なインフラを担っている。これに対し民生児童委員は、様々な生き辛さを抱えた世帯の見守りや相談活動を通じて行政とのパイプ役を担っている。いわば地域コミュニティの個別のセイフティネットとしての点をカバーしている。
 民生児童委員は中核市の西宮市の場合、170~360世帯ごとに一人という定数基準で選任されている。私の住む住宅街の場合は丁目ごとに選任され基準値を超える約400世帯を担当している。65歳以上の高齢者も300人を超え、高齢化の加速化で日常的な見守りは物理的にも限界がある。
 超高齢社会が一層進行する中で、民生児童委員のカバーすべき課題も多様化し深刻化している。高齢者支援という点では従来の高齢者本人の見守りだけでなく、長期化する介護生活の介護者のケアも課題になってきた。ヤングケアラーの問題も焦点化し、ケアラー支援がテーマになりつつある。高齢者実態調査等で認知症発症者を把握しても家族内の対応にとどまり地域での対応の手立てがない。子育て支援という点では赤ちゃん訪問という乳児対応はあるが、不登校や児童虐待といった児童への対応は具体的な関りがなく実態としては手つかずといってよい。
 民生・児童委員の抱える問題は、単独活動という役職上の特性はあるものの多様化、深刻化する課題の対応にどのように自治会や地区社協と連携できるかという点がある。考え方としてはしばしば指摘されるが、実態としての手立てや仕組みはない。今ひとつは単独活動が基本のため民生児童委員個々の活動のばらつきが大きい点である。個々の問題意識、意慾、地域組織との関り等の違いが活動レベルの違いを生じさせかねない。とりわけ地域福祉全般をカバーする地区社協への参加の有無は問題意識や情報共有の面でギャップが大きく個別ケアにもたらす影響が懸念される。