イマドキの卒業証書授与式 ― 2011年03月18日

地元小学校の卒業証書授与式に地域の民生委員・児童委員として出席した。昨今はどこも卒業式とは言わないようだ。開会30分前に来賓控室に入った。私の隣の空席にほどなく着席したのは意外な人物だった。あるボランティア組織の在り方を巡って10ヶ月ほど前に攻防を繰り広げた相手方の中心人物だった。1年近い時の流れがある種の懐かしさをもたらしていた。共通の知人のホットな話題を材料に声を掛けた。しばらく屈託のない雑談を交わした。思いがけなく心の隅の重荷をひとつを降ろせた貴重な機会だった。
会場の広い体育館にはおりからの冷え込みがそのまま伝わっていた。確か昨年は大型ストーブが焚かれていた気がする。ここ以上に過酷な被災地の人たちへの気遣いなのだろう。開式は列席者全員の黙祷で始まった。国家斉唱、校歌斉唱、来賓紹介とたんたんと進行する。通常あるPTA会長による来賓祝辞はない。メインの卒業証書授与となる。右代表が一人だけ授与される昔の方式は今はない。113名の卒業生ひとりひとりの氏名が呼ばれ、それぞれに校長から授与される。その次の「学校長の言葉」はさすがに少し時間が割かれた。
あっという間の式の進行で最後の「卒業生の言葉」を迎えた。「こんなに早く終わっていいのかな」という懸念は杞憂だった。舞台前に着席している卒業生たちの数人が起立した。メッセージのワンフレーズずつを立っている生徒が順番に一人ずつ大きな声で口にする。その後巣立ちをテーマにしたような歌を全員が合唱する。メッセージと合唱が数回繰り返され、全卒業生が長い感謝と別れのメッセージを繋ぎ終えた。この間には列席した在校生代表の5年生によるメッセージと合唱も挟まれる。最後の合唱を歌いながら最前列の女の子のひとりが手にしたハンカチで涙を拭った。それはたちまち隣の女の子に伝播する。みるまに数人が泣き出した。30分を要する「卒業生の言葉」だった。そして卒業生退場となる。列を作っての一斉退場ではない。ひとりひとりが間隔をおいて参列者によく見えるようにゆっくりとしたいわば「退場式」なのだ。
今どきの卒業証書授与式の実態をみた。あくまで卒業生が主役なのだ。しかもひとりひとりが主役なのだ。卒業証書を渡された時、メッセージのワンフレーズを口にした時、大勢の参列者の注視の中を退場する時、卒業するひとりひとりが恐らく初めての人生の主役を演じている。「これではモンスターペアレントに口実を与える隙はないな」などとは思うまい。これはこれであらたな教育の在り方のひとつの形なのだろうと納得した。
それにしても深刻な原発事故の危機が続いている。場合によっては日本の将来にわたる広範囲な放射能汚染を招きかねない危機である。その真っ只中で巣立っていく子どもたちにどんな未来が待っているのだろうか。
会場の広い体育館にはおりからの冷え込みがそのまま伝わっていた。確か昨年は大型ストーブが焚かれていた気がする。ここ以上に過酷な被災地の人たちへの気遣いなのだろう。開式は列席者全員の黙祷で始まった。国家斉唱、校歌斉唱、来賓紹介とたんたんと進行する。通常あるPTA会長による来賓祝辞はない。メインの卒業証書授与となる。右代表が一人だけ授与される昔の方式は今はない。113名の卒業生ひとりひとりの氏名が呼ばれ、それぞれに校長から授与される。その次の「学校長の言葉」はさすがに少し時間が割かれた。
あっという間の式の進行で最後の「卒業生の言葉」を迎えた。「こんなに早く終わっていいのかな」という懸念は杞憂だった。舞台前に着席している卒業生たちの数人が起立した。メッセージのワンフレーズずつを立っている生徒が順番に一人ずつ大きな声で口にする。その後巣立ちをテーマにしたような歌を全員が合唱する。メッセージと合唱が数回繰り返され、全卒業生が長い感謝と別れのメッセージを繋ぎ終えた。この間には列席した在校生代表の5年生によるメッセージと合唱も挟まれる。最後の合唱を歌いながら最前列の女の子のひとりが手にしたハンカチで涙を拭った。それはたちまち隣の女の子に伝播する。みるまに数人が泣き出した。30分を要する「卒業生の言葉」だった。そして卒業生退場となる。列を作っての一斉退場ではない。ひとりひとりが間隔をおいて参列者によく見えるようにゆっくりとしたいわば「退場式」なのだ。
今どきの卒業証書授与式の実態をみた。あくまで卒業生が主役なのだ。しかもひとりひとりが主役なのだ。卒業証書を渡された時、メッセージのワンフレーズを口にした時、大勢の参列者の注視の中を退場する時、卒業するひとりひとりが恐らく初めての人生の主役を演じている。「これではモンスターペアレントに口実を与える隙はないな」などとは思うまい。これはこれであらたな教育の在り方のひとつの形なのだろうと納得した。
それにしても深刻な原発事故の危機が続いている。場合によっては日本の将来にわたる広範囲な放射能汚染を招きかねない危機である。その真っ只中で巣立っていく子どもたちにどんな未来が待っているのだろうか。
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