友人の勇気ある決断と行動2012年01月05日

 今年も多くの友人・知人から賀状をいただいた。年に一度の友人・知人たちの近況を知る機会でもある。中でも注目したのは20代半ば以来の古い友人である三上さんの賀状だった。敢えて固有名詞で書いたのは、彼が静岡県湖西市の現職市長という公職にあるからだ。裏面いっぱいに彼の現在の活動と想いが手書きの文章を印字して綴られていた。テーマは「脱原発」である。
 3.11の原発事故を受けて、10年来の持論だった脱原発を発言していくことを熟慮の上、決心したということだ。4月21日の県の市長会で「浜岡止めるべし」の発言をしたとある。5月には浜岡廃炉訴訟の原告の一人に加わり、以降、ブログを通じて積極的に脱原発の発信を続けている。http://pikagen.hamazo.tv/ 賀状の最後は、「今年も市政に全力を尽くしつつ、脱原発の行動を続けることを誓います!」と結ばれている。
 同年代の彼の決断と行動力に脱帽した。市長に当選したのも還暦直前だった。50代前半で現役の最前線を退き、郷里で様々な地域活動に従事した。そうした実績が市長就任に至ったのだと思う。それにしても現役市長として世論を二分する「脱原発の是非」について明快な立場を明らかにし、浜岡廃炉訴訟の原告の一人に加わるという行動力は鮮やかであり見事である。
 個人的にも「脱原発の是非」について自身の意見を明らかにすべきだと思った。「脱原発に賛成」である。理由は、地球規模の破壊的な危険性をもたらしかねない原発事故を人類の科学技術は抑止できないという点が第1である。脱原発の反対論者は、現実の日常的な豊かさをもたらしている電力需要を原発をなくしてどう実現するかを問う。これについても電力供給の多様化等の反論もさることながら、文明の在り方そのものが問われていると答えたいと思っている。
 行き過ぎた「市場経済主義」があらゆるジャンルでひずみを起こしている。市場経済主義の代表的な超大国・アメリカによる「パックス・アメリカーナ」が終焉を迎えていると思う。かってのパックス・ロマーナやパックス・ブリタニカがその終焉を避けられなかったのと同様である。それはその時々のローマ帝国や大英帝国といった超大国が具現化した文明そのものの終焉でもある。市場経済が実現した「物質的豊かさ」と引き換えに人類は多くのものを失った。自然や環境や伝統や心の豊かさといったものである。
 ポスト「パックス・アメリカーナ」の次に何が来るのかいまだその姿は明確でない。少なくとも失ったものの回復がキーワードになる筈だ。ブータン王国のGDP(国内総生産)に変わるGNH(国民総幸福量)という「物質的豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさ、つまり幸福を目指すべきだ」とする考え方は非常に示唆に富んでいると思う。脱原発の論拠のひとつに、「物質的豊かさを支える電力という血液の価値尺度そのものの見直し」という点がありはしないだろうか。

コメント

_ 立売堀 ― 2012/01/06 13:09

5億10億貰う経営者がリストラを言う。
あなたの年収の半分にするだけでも数百人を雇用することが出来る。

足るを知る。ではないでしょうか。

今年もよろしくお願いします。

_ 明日香 亮 ― 2012/01/06 17:46

ブログでの交流に終始した感の昨年でしたが、次回例会にはこの記事のテーマに沿ったものですので、出席予定です。できればその場でお会いしたいものです。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック