中学校入学式のできごと2015年04月10日

 昨日に引き続いて今日は中学校の入学式だった。始まってしばらくして新入生177名の名前が呼ばれ、一人一人が立って返事を返していた時だ。最初は小さな声で何やら呟きが聞こえた。次第に意味不明な呟きが大きな声になってきた。後方の新入生の席から聞こえる。とうとう叫び声になった時、保護者らしき女性や職員が駆け寄った。ひとりの女生徒が肩を抱かれながら体育館の出口に向かった。
 来賓席前の新入生席で落ち着きのない男子生徒のひとりが目についた。絶えず体のどこかが動いている。上着のポケットに両手を突っ込んだり出したりとせわしない。周囲を見回しては何かぶつぶつ言っている。
 式の終盤となった。在校生代表の「祝いの言葉」が少し長めに続いていた時だ。突然、「ドタン」と大きな物音がした。すぐに数人の教職員が物音の方に駆け寄った。式が中断し、しばらくして担架にのせられた新入生のひとりが会場を後にした。
 小学校を卒業し、中学校に入学した時から「児童」から「生徒」になるという。「社会」を意識し始めた子どもたちが最初に出会う大きなイベントなのだろう。それは大人たちが考える以上に子どもたちには緊張を強いられるシーンなのかもしれない。精神面や肉体面で不安を抱えた子どもたちがその緊張を支え切れなくなった時、イレギュラーな出来事が発生する。そうした事態を周囲の大人たちやこれから仲間となる同級生たちがどのように暖かく包み込めるだろうか。