長尾和宏著「痛くない死に方」2017年10月07日

 長尾和宏著「痛くない死に方」を読んだ。これで著者の7冊目の著作を読んだことになる。私の地域活動の目下の主要なテーマは「在宅ケア」である。そのための多くの知識と情報を長尾医師の著作から得ている。それだけに現状では著者はもっとも信頼を置いている医師といえる。
 この著作は既読の「平穏死10の条件」の4年後のリニューアル版である。在宅医としての4年間の経験の蓄積が前作以上に示唆に富んだ記述となって展開されている。以下の指摘に関心を持った。
 ・痛くない死に方には緩和医療の知識と理解のあるかかりつけ医を見つけておくこと。緩和ケアがしっかりできないと在宅看取りには至らない。それにはかかりつけ医の在宅看取り数が目安となる。
 ・認知症終末期の平穏死の条件は「最後まで口から食べること」「胃ろうを選択しないこと」
 ・平穏死に関わる有益な情報の紹介。医師の在宅看取り実績数を公開した「自宅で看取るいいお医者さん」というムック本。平穏死に取組む「日本慢性期医療協会」とその会員を掲載したHP(近隣での会員施設には北摂中央病院と船坂の介護老人保健施設・ふるさとの家がある)
 ・施設を終の棲家として決めたなら終末期に病院に搬送せず平穏死を迎えさせてくれる施設を選ぶこと
 ・「在宅看取りは警察に届けねばならないという誤解」は医師法20条の誤解」。「診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合」は主治医が後日に往診して死亡診断書を発行できる」というのが医師法20条の解釈。