鶴岡散策(藤沢周平・海坂藩の風景)2018年02月18日

 朝食バイキングを済ませ重いバッグをフロントに預けてホテルを後にしたのは8時過ぎだった。今回の旅の目的のひとつである鶴岡市内観光に出かけた。昨晩、ホテル備付けの「鶴岡まちなか散策」なる観光マップを丹念に読み散策コースは決めていた。
 まちなかを歩き始めてすぐに思わぬ障害に気づかされた。天候はうす曇りで問題はないが降り積もった雪で路面の凍結が予想外の歩行障害となって立ちはだかった。雪道を想定して急遽購入した防水トレキングシューズでも間に合わない。滑りやすい凍結した積雪路面でしばしば転倒しそうになる。おまけに雪国の降雪時の車道の雪は歩道に積み上げられ多くの歩道は通行できず車道を歩くしかない。
 散策マップ片手に駅前通りを南に向かった。最初に目にしたのはこの地方最古と言われる赤い鳥居と赤い屋根の山王日枝神社だった。続いてかつての鶴岡城下の中心部を流れる内川沿いの風情ある町並みを目にした。羽黒街道の内川に架かる鶴岡橋の北側には三雪橋の赤い欄干の風情を望める。市役所南向いには庄内藩校・致道館がある。1805年創設の藩校の聖堂、講堂、御入間などの建物が当時のままに残されている。
 羽黒街道をさらに西に進み、致道博物館に入館した。鶴岡城三の丸跡に建つ旧藩主・酒井氏寄贈の郷土資料館である。旧西田川郡役所、旧鶴岡警察署、旧藩主御隠殿、移築した多層民家など六つの建物からなる広大な施設だった。有形民俗文化財などに並んで発掘されたおびただしい縄文土器の陳列が目を引いた。この地方が阪神地方よりはるかに古い悠久の歴史を刻んだ町であることを伝えている。
 折り返して鶴岡城址公園に向かった。入口に建つ郷土人物資料館・大寶館に入館した。高山樗牛はじめ鶴岡ゆかりの多くの人物が紹介されている。すぐ北側の庄内神社に参拝した後、その向いの藤沢周平記念館に入館した。今回の旅の目的のひとつでもあり大いに期待したが、書籍の展示、足跡のパネル展示等が中心で多くは既知の情報のビジュアル化という印象だった。藤沢周平の書斎の復元や在職した中学校卒業の集合写真などが目を引いた。
 北側の雪に覆われた城址公園を散策した。お堀にあたる場所は降り積もった雪で公園と一体化している。公園北側の車道を背丈ほどある雪の壁沿いに歩いた。公園東側のみゆき通り沿いに帰路についた。途中、鶴岡カトリック教会天主堂、三井家蔵座敷、松尾芭蕉乗船地跡などの史跡を巡った。また地元食材を求めて主婦の店にも立ち寄り念願だったハタハタの干物も調達した。
 鶴岡駅前に12時過ぎに到着した。4時間余りの2万歩を超える散策だった。駅前の海鮮料理の店でマグロの磯丼(820円)の昼食をとった。次の目的地は天童である。鶴岡と山形を高速道で結ぶ路線バスの出発時刻は2時20分だ。ホテルフロントで預けたバッグを受取りフロントのソファーで1時間ばかり休息し、鶴岡エスモールバスターミナルに向かった。