犯罪被害者支援の日本の現状2012年05月12日

 一昨日、和歌山市内で開催された労働委員会労働者委員の近畿ブロック連絡会総会に出席した。近畿二府四県の労働委員会労働者委員の連絡会で毎年この時期に持ち回りで総会が開催される。
 総会では各府県の取組み報告がある。どの府県も概ね事務局作成の事件取扱状況、最近の傾向、特徴的な事件の概要などを中心に報告される。大阪は私から報告するよう事前に幹事から要請され、内容も事務局作成資料でなく大阪での特徴的な動向をトピックス風に紹介することを打合せた。報告では「大阪での労働者委員11名の情報共有、経験交流などの定例会開催」「大阪の労働委員報酬の4月からの日額制移行の概要」「大阪市職員アンケート事件の経過」を取上げた。
 総会のメインは開催県の労働委員会会長などによる研究会である。今回は和歌山県労働委員会長の有田弁護士の「犯罪被害者支援の法制度」の講演だった。氏は14年前の和歌山毒物カレー事件の被害者支援弁護団の活動を契機に、被害者支援活動に尽力し、現在、日弁連犯罪被害者支援委員会委員長でもある。
 「なぜ犯罪被害者保護が必要なのか」「被害者支援の歩みと日本の現状」などが、和歌山毒物カレー事件の実態などを交えて解説された。
 日本が欧米先進国などに比べて、被害者の刑事手続きへの参加などの法整備面や、国の被害者給付金の支給額等の補償面において大きく遅れていることを教えられた。何の責任もないのに一方的に多大な被害を受けてしまった犯罪被害者たちの精神的・経済的苦痛ははかりしれない。犯罪被害者はマスコミ報道によってしばしば二次被害を受けやすい。刑事手続きに対しても被害者証言は単なる証拠のひとつに過ぎなかった。2004年にようやく犯罪被害者等基本法が成立し、被害者支援の枠組みが固まった。
 従来ほとんど関心の枠外にあった「犯罪被害者支援」というテーマに初めて向き合わされた気がした講演だった。