高齢シングル男性向けのお食事ボランティア2012年05月30日

 民生委員として地域の者会福祉協議会(社協)の役員を兼ねている。社協での役回りは2ヶ月毎に定期発行している広報紙の編集スタッフである。次号の編集で耳寄りな話を得て記事にすることになった。奥さんに先立たれた高齢シングル男性を毎月1回招いて手作りの食事を提供している年配の女性の話題だった。
 そのお食事会の日である今日の夕方、事前に了解を得てその女性のお宅で取材をした。食事会の30分前に訪問しご本人から話を聞いた。以下はその要約である。
 「9年前に主人を亡くし、一人住まいになった。4年ほどの一人暮らしで食事の味気なさが身に沁みた。奥さんに先立たれ手料理にも不自由な高齢の男性はその想いはもっと強いのではないか。そんな気持ちからご近所の老人会所属のシングル男性たちに手料理を提供する食事会を呼び掛けた。元来、料理が好きで料理教室にも永年通い、多少は自信もあったこともある。平成19年末に4人のゲストでスタートし、今はシングルさんでない方も含めて6名になった。ゲストの平均年齢は80歳位ではないか。毎月1回午後6時から8時頃まで食事と懇親を重ねている。無料で始めたが皆さんがそれでは来づらくなるということなので、今は毎回会費千円を頂いている。後始末は大変だが、みんなで一緒に美味しく食べられることの楽しさは何物にも代え難い。」
 午後6時になるとゲストたちが相次いで姿を現した。旅行中のお一人を除いて今回は5名のゲストである。既にテーブルには昨晩から準備を始めたという豪華で多数の品々が並べられている。驚いたことに取材者分まで用意されていた。お断りするわけにもいかないので恐縮しながら一緒に席に着いた。まずはワインで乾杯が恒例とのこと。乾杯風景を画像に納めさせてもらった。ワインの後にはゲストたちが持参したお酒や焼酎、ホストが準備したプレミアムビールなどが待っている。美味しい数々の手料理をアテにワインやビールを戴きながらゲストたちの声を聞いた。「月一回のこの日が何よりも楽しみで待ち遠しい」「来月はいつになるのかとついつい問い合わせてしまう」。
 ホストに今後の抱負を聞いた。「このメンバーでいつまでもこの会が続いてほしい」という言葉が返ってきた。30分ばかり食事を一緒に戴いて、思わぬ役得に感謝しながら辞去した。
 自分の得意な料理という分野で自分自身も楽しみながら高齢シングルさんたちの食事の潤いを提供する。高齢社会を支えるそんな異色のボランティアの実態を垣間見た。