知人の古希コンサートの一幕2012年05月27日

 昨日、住宅街の同じ町内の知人Tさんが山口ホールでコンサートを開催した。永年小中学校の音楽教師を勤めあげ、リタイヤ後は山口町内の障害者施設の非常勤職員として音楽療法や演奏活動を続けられている。そのTさんが古希を迎えてこれまでの音楽活動の集大成ともいうべき舞台を企画された。
 民生委員としてのおつき合いに始まって、ミュージカル劇団の会員にお誘いしたりして個人的なおつき合いもある。そんなTさんのコンサート開催を聞いて住宅街のコーラス部の知人にチラシを配ったり社協のふれあい喫茶での紹介などのお手伝いをした。
 それにしても無料コンサートとはいえ、素人の歌曲のコンサートにどれだけの聴衆が集まるかという不安は拭えなかった。ところがその不安は開演時には吹っ飛んだ。ほぼ満席に近い150名ほどの観客が席を埋めた。
 幕が開き、満面の笑顔のTさんが伴奏者のピアニストと友情出演の尺八奏者とともに観客を迎えた。司会進行役も兼ねたTさんの「魔王」や「サンタルチア」の歌曲七曲が独唱された。さすがに永年鍛えた喉である。古希を感じさせない豊かな声量で歌いあげられた。第1部がピアノソロと尺八・ピアノの共演で締めくくられた。
 第二部はTさんのオリジナルソングのピアノの弾き語りによるオンパレードである。勤務してきた先々の学校、園の校歌や応援歌の作曲や作詩・作曲を数多く手がけられた。そうした歌12曲のまとめてのお披露目の場でもある。最初の歌「天王寺中学校・10組ソング」が終った時だ。最前列に陣取った男女数人が立ち上がって舞台上のTさんに大きな花束を贈った。今は立派なオジサン、オバサンとなった教え子たちだった。観客の少なくない人たちはかっての教え子や同僚たちであることを教えられた。Tさんの初孫の三歳の頃の様子を歌にした「童謡・真奈ちゃん」の歌詞を微笑ましく聴いた。今勤務中の施設の「音頭」が終った時にも障害者の園児たちからたくさんの花束が贈られた。観客と一緒になって合唱された「故郷」がフィナーレを飾った。2時間のぬくもりに溢れたコンサートが終った。
 Tさんの豊かで充実した人生の一幕を垣間見た。晩年に自身の歩みを集大成したこうした舞台を持てるとはなんと幸せだろう。そんな舞台に多くの人に駆けつけてもらえるのも、その時々の交遊の深さを物語っている。開演前に奥さんと言葉を交わした。「主人の一生に一度の晴れ舞台ですから精一杯応援してます」。Tさんの最強のサポーターがそこにいた。