ふれあい喫茶の風景2012年11月14日

 毎月第2水曜日の午後に、住宅街の自治会館でふれあい喫茶が開店する。地区の社会福祉協議会の事業のひとつである。1時から3時半のわずか2時間半の間に毎回100名近いお年寄りが入替り立ち替わり来店される。ふれあい喫茶では10名前後の主婦ボランティアの皆さんからコーヒー、紅茶、日本茶に茶菓子の無料接待を受けられる。
 5年前に民生委員を引受けて同時に社協の役員にも就任した。その役柄からもふれあい喫茶に顔を出すことが求められた。日常的には担当地区のお年寄りと顔を合わせることは少ない。この喫茶ではごく自然に顔を合わせ懇談が可能である。ただ当初は馴染も少なく何となく敷居が高かった。ところがこの間の4回の高齢者訪問やお食事会などを通じて多くのお年寄りと知り合った。自身も四捨五入すれば70代になる立派な高齢者になった。今年からはしばしばふれあい喫茶に顔を出すようになった。
 今日もふれあい喫茶に立ち寄った。顔見知りのボランティアの皆さんたちと挨拶を交わし、運ばれたコーヒーで寛いだ。いつも同席して雑談を交わすおじさんたちの姿がない。手持無沙汰に文庫本を広げていると、ハーモニカの音色が聞こえた。住宅街に隣接する養護老人ホームのお年寄りや職員たちもこの喫茶の常連客である。彼らのテーブルの中の年配の施設入居のおじいさんによる演奏だった。「お富さん」や「桃太郎」などのメロディーが奏でられと、思わず会場のみんなが唱和した。演奏ごとに拍手が送られる。おじいさんにとっての思わぬ晴れ舞台となった。こんなささやかな出来事の中に地域の大切な風景を見た。