初夏のみずみずしい空気が全身を包んでいた。早朝の散歩道が最も心地よい季節を迎えている。
　有馬川の堤から東側の田圃を覗いた。田植えの準備が整っている。名来の立毛墓地前の田圃には、もう灌漑用水が引かれていた。水田が鏡となって丘陵を映していた。
　名来橋の北側の土手道は今も車の轍（わだち）がくっきり残されている。草萌ゆる季節ともなれば、轍を挟んで三筋の夏草が競い合う。今がその季節だ。
　土手道突き当りの東側に淡竹（ハチク）林がある。筍がそろそろ顔を出す季節だ。細くて小さな筍がそこかしこに顔をのぞかせ始めた。獲るにはまだ早い。撮るだけにとどめた。
　Uターンしての帰り道、名来の一の湯墓地に向かう脇道にやってきた。緩やかな坂道が竹林で包まれている。生い茂る枝を貫く朝日に初夏の力強さを感じた。
　匂い立つ初夏を歩いた。