人生相談2014年05月26日

 奥さんたちは新聞の「人生相談欄」が好きなようだ。我が家の奥さんも然りである。主婦ネットワークでの格好のおしゃべりネタのひとつになっているようだ。完全リタイヤの身となってそんな奥さんと突き合わせる時間が多くなった。否応なく夫婦の会話を迫られる。夫婦ネタの意味もあって亭主も「人生相談」欄に目を通すようになった。
 これはこれで結構面白い。様々な人生の様々な苦悩や不幸や境遇が語られる。そうした相談ごとに識者?が答える。相談ごとも回答もそれぞれ400字余りの限られた字数でのやりとりである(原稿の字数はもっと多いのかもしれないが、編集者の腕で紙上にはそれ位のスペースで掲載されている)。人生の重大事がそんな限られたやりとりで解決されるわけはないことは当事者も読者も百も承知の筈だ。それでもある種の教訓やヒントを得ることもある。
 先日、「口うるさい妻に閉口」というタイトルの記事が掲載された。その共感を呼ぶタイトルに飛びついた。妻の自分に対する口出しの多さとうるささを訴える70代男性の相談である。『結婚前は殊勝だった妻が最近急に変わってきた。ものの食べ方や順序、買物や運転の仕方、服装や歩き方、言い方など数えきれない。反面、料理はうまく家事全般もちゃんとしてくれるので、我慢、我慢とは思うが、余りにもうるさ過ぎる。一緒に生活するのが嫌になる』といった内容だ。
 これに対し作家先生が回答している。『奥様が変わられたのでなく、あなたが変わられたのでしょう。目に余る変わりようなので、奥様がいちいち注意するのでしょう。奥様はあなたのわがままを奥様の考えによってたしなめているのです。奥様に関心を持たれるだけ、あなたは幸せ者です』。
 相談者にははなはだ不本意な回答だったに違いない。読者である私は家内向けの格好のネタだたと思った。早速、家内にこの人生相談を読んだよと告げた。暗にこの記事の応答を受け入れているとの意思表示でもある。日頃の家内の口うるささに不満を口にしている輩である。それでも関心を持たれているだけ幸せ者だとは、到底口にできない世代である。その後、記事を読んだ家内との良好な会話が交わされた。