バーチャル時代の本物の遊び2008年06月28日

 「先日ある総合病院へ行った時のことです。広い待合室の一角で若いお母さんとその子供とおばあちゃんらしき人が順番を待っていました。お母さんは携帯電話のボタン操作に夢中です。おばあちゃんも脇目もふらず小型のゲーム機で遊んでいました。傍で幼い子供がつまらなそうに座っています。嘆かわしい光景です。こんなことでいいのでしょうか」。地区の青少年愛護協会のT会長の発言だった。
 「数年前から『子供遊び』のボランティアを7人の仲間とやっています。月1回、自治会館で子供たちやお父さん方と竹とんぼや竹馬などを一緒に作るお手伝いをしています。最近は参加者が少なくしばしば中止になることもあります」。私の同僚民生委員のAさんの発言だった。ともに永年地域で草の根の福祉ボランティアを支えてきた人生の大先輩たちの現状を憂う発言だった。
 今日の午後の地元の小学校の地区懇談会でのひとこまである。6名の先生たち、20名ほどのPTA役員を中心としたお母さんたち、7名の自治会、青愛協、老人会、子供会などの地域各団体の役員や民生・児童委員たちが耳を傾けていた。
 筋書きに沿った型通りの懇談の流れが変わったと思った。お二人の発言を引き取りながら自分なりの想いを伝えるべく発言を求めた。
 「Tさんの指摘の通り、ゲーム機の氾濫が子供たちの教育に大きな影を落としています。先日の秋葉原無差別殺傷事件にゲーム世代のバーチャール感覚の怖さが指摘されています。かといってパソコン、ゲーム機、形態等のIT機器やインターネットの便利さを排除したり無視したりしても問題は解決しません。問題はIT社会という新たな現実を見据えてどのような教育が必要なのかということではないでしょうか。一人遊びのゲーム機が氾濫するIT社会だからこそAさんたちに提供してもらえる遊びが新鮮です。手造りのぬくもりのある友だち同士の遊びが輝く筈です。バーチャルでない本物の遊びを体験できる環境が必要です。本物の遊びの楽しさを伝える手立てが必要です。個人的に地域紹介のHPを立ち上げています。過去2回この小学校の3年生を対象にこの街の自然や歴史や風物についての授業をさせてもらいました。HPというITを使って私たちの古里の素晴らしさを伝えたと思っています。知ることで、実際に史跡や自然や生き物たちの素晴らしさにじかにふれるきっかけになればと思っています。」