篠山の里山で山菜採りに興じた2009年04月17日

 ご近所夫婦三組で山菜取りに出かけた。他の二組のご夫婦のこの時期の恒例行事に、今年は私たちも相乗りさせてもらった。トルコツアーをご一緒した旧知のご夫婦と私は初めてお付合いするご夫婦だ。10時に出発し2台のマイカーに分乗して176号線を篠山方面に向う。JR古市駅の手前で左折し、白髪岳、松尾山の案内看板のある辻を北上する。茅葺屋根が点在するのどかな里山の風景が広がっている。川沿いの空地に駐車し、6名のハイカー風の還暦前後の男女が行脚を始めた。しばらく行くと「松尾山・白髪岳案内図」の大きな看板が立っていた。松尾山から白髪岳を縦走するコース案内とその周辺の史跡案内である。看板のすぐ先を左折し白髪岳方面に向う。山道の左右に栗林が続いている。ここが丹波栗の産地だったと思い起こした。
 山菜取り名人たちに案内されてわらび採りスポットに到着した。羊歯類の枯れ草に覆われた山麓の斜面の一角だ。とはいうもののはじめは良く分からない。目が慣れるに従って、頭を折り曲げた薄茶色の産毛に覆われたわらびがあちこちに群生しているのが目に入る。初めて目にする野性のわらびの群生に心が踊る。根元から少し上のきれいに折れるところで摘むのがコツのようだ。空き地の枯れ草から覗かせているのはまだ若いわらびが多い。名人のアドバイスで低い樹木の林に分け入った。黄緑の長く伸びた茎を持つ大きなわらびが群れていた。ジャンパーを木の枝に引っ掛けながら夢中で摘んでいった。みるまにビニール袋を収穫したわらびが埋めていく。30分ばかりわらび採りに興じた。
 昼食場所を求めて白髪岳の中腹付近まで上ることになった。杉林の間を縫っている山道を、森林浴を楽しみながらの山登りである。葉桜になりかけの桜林の横を通り、ヘアピンカーブを過ぎると東屋風の休憩所があった。その横の小道を登ると何段かの砂防提が続く。上段の堤防の上に昼食に格好の平地があった。早速シートを敷いて昼食となる。曇り空とは言え久々の山登りが、心地よい汗を滲ませ、空腹を訴えている。持参の缶ビールがしみとおり、至福のひと時が訪れる。集合写真やスナップ写真で50数年前の童心に戻る。
 下山途中に突然現われた大きな蛇の姿に一同嬌声をあげる。出発地点の案内看板の所に戻った。ここから駐車地の反対方向の松尾山方向に向う。もうひとつの山菜・こごみ採りのスポットは300mほど先にあった。小川の岸辺の株の間に羊歯類特有の緑色の丸まった芽が覗いている。帰宅後ネット検索すると「草蘇鉄の若芽」とある。確かに蘇鉄のような姿である。こちらは群生とはいかない。しばらくして黒っぽい株を目印に見つけるのがコツと知った。川岸の苔むした岩に滑りそうになりながら、野性採集に明け暮れた縄文人の気分に浸った。
 マイカーに戻り、旧・今田町の天然温泉「ぬくもりの郷」に向う。平日ながら3セク経営の事業体の駐車場は一杯だった。入浴前に地元産品の物産館で野菜や佃煮の買物をし、出来立て豆腐や揚げたてのオカラ入りコロッケを味わった。本館のお土産コーナー奥に温泉入口があり、1人700円のチケットを購入。50分後の男女の集合時間を打合せ、ロッカーキーを受取って入場する。浴室は思いの他豪勢な造りだ。室内大浴場の他に二段に分かれた露天風呂が二つありサウナや水風呂もある。室内風呂、露天風呂、サウナをハシゴし、身体を洗っていつになくゆっくり過ごした。とはいえ元来がカラスの行水である。集合時間15分前に出て館内を散策する。4時半に全員揃って館内の軽食コーナーで寛ぐ。猪フランクをアテに呑む風呂上りの地ビールが堪らない。
 5時半には自宅のある住宅街の麓の貸し農園に着いた。二組のご夫婦はともに貸し農園仲間でもある。顔見知りのご近所さんも畑仕事に余念がない。マイカーを降りて雑談を交わす。知人のご主人から早速、ネギやワケギや筍を頂いた。山菜採り同行のご夫婦からもほうれん草を頂いた。初体験の山菜採りと天然温泉の癒しの一日だった。ご近所付き合いで相乗りさせてもらった小旅行が、最後まで恵まれた収穫に包まれて終了した。リタイヤ後のお付合いの輪がまた広がった。その日の夕食にはこごみのゴマだれ和えが、灰汁抜きに1日おいた翌日の夕食にはわらびのオシタシがビールのアテに供された。