初冬の散歩道の物語 ― 2014年11月23日
防寒コートを羽織って自宅を出た。外気の冷やかさが初冬の気配を伝えていた。散歩道のお気に入りスポットのひとつにやってきた。有馬川の名来橋袂を旧丹波街道に向かって東に進む農道である。
路傍のススキの向こうに三田の山並みが横たわる。その先の田圃の畦に一本の柿の木が立っている。大木ではないが老木である。葉っぱが枯れ落ちて網の目のような剥き出しにの枝々に鈴なりの柿がしがみついていた。誰も収穫しそうにない場所に実った柿たちである。黒ずみはじめた柿の実に朽ち果てるしかない哀しさが漂っていた。
柿の木の手前の南北に抜ける杣道が旧丹波街道である。名来の集落に至る西に向かう農道との三叉路に「丹波街道」と記された道しるべがたてられている。地元山口の財団法人が設置したものだ。江戸時代の旅人たちの往還の姿を思い浮かべるにふさわしい風景である。
国道176号線から天上橋を渡っていた。有馬川の川面に遊ぶ一群の野鳥たちが目に留まった。二羽のシラサギが餌を求めて徘徊している。浅瀬で三羽の合鴨が水面に顔をくっつけて朝食中である。真っ黒なカワウが一羽、天を仰いで何やら呟いた。その先では二羽のハクセキレイがせかせかと堰の上を歩いていた。一枚の画像に納まる狭いエリアで何種類もの野鳥たちが遊ぶ姿は珍しい。それぞれが相互におしゃべりしている雰囲気さえ伝わってくる。野鳥たちの共存の志向は人間たちより強いのかもしれない。
初冬の散歩道のあちこちで紡がれている物語にふれた。
路傍のススキの向こうに三田の山並みが横たわる。その先の田圃の畦に一本の柿の木が立っている。大木ではないが老木である。葉っぱが枯れ落ちて網の目のような剥き出しにの枝々に鈴なりの柿がしがみついていた。誰も収穫しそうにない場所に実った柿たちである。黒ずみはじめた柿の実に朽ち果てるしかない哀しさが漂っていた。
柿の木の手前の南北に抜ける杣道が旧丹波街道である。名来の集落に至る西に向かう農道との三叉路に「丹波街道」と記された道しるべがたてられている。地元山口の財団法人が設置したものだ。江戸時代の旅人たちの往還の姿を思い浮かべるにふさわしい風景である。
国道176号線から天上橋を渡っていた。有馬川の川面に遊ぶ一群の野鳥たちが目に留まった。二羽のシラサギが餌を求めて徘徊している。浅瀬で三羽の合鴨が水面に顔をくっつけて朝食中である。真っ黒なカワウが一羽、天を仰いで何やら呟いた。その先では二羽のハクセキレイがせかせかと堰の上を歩いていた。一枚の画像に納まる狭いエリアで何種類もの野鳥たちが遊ぶ姿は珍しい。それぞれが相互におしゃべりしている雰囲気さえ伝わってくる。野鳥たちの共存の志向は人間たちより強いのかもしれない。
初冬の散歩道のあちこちで紡がれている物語にふれた。
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