独居高齢男性の孤独死で残されたもの2022年05月06日

 民生委員の担当地区の主婦から連絡を受けた。先月中旬に孤独死された独居高齢男性宅のご近所の主婦である。故人の生前には何かと気にかけいた方で、民生委員の私にも必要に応じて情報を伝えてもらっていた。その主婦から次のような相談があった。
 「独り住まいの○〇さんが亡くなって、家屋を管理する人がいなくなった。親族や親類縁者とも連絡が取れないようなので、家屋は管理者不在のまま今後長く放置される。荒廃による環境悪化も心配だが、当面、植えられたばかりのさくらの樹の管理が気になる。すぐに成長して毛虫の繁殖被害や落葉処理が近所で問題になる。若木の内なら伐採も楽だし、将来の厄介事も解消するが、よそ様の木を切るわけにもいかず困っている」。
 聞けばもっともな話である。要はさくらの若木を処分すればいいだけのことである。それについて誰も文句を言わないどころかご近所こぞって喜ばれる筈だ。問題は所有権者に無断で処分することの法的な責任をどうクリアできるかという点に尽きる。所有権者を特定しその人の同意を得ればよいのだが、所有権者を特定する手立てがない。そんなやりとりを交わした後、しかるべき人と相談してみたいと応じてひとまず話を終えた。
 翌日の早朝ウオーキングの途中で件のお宅を訪ねて現地を確認した。玄関脇の庭先にそのさくらの若木が立っていた。高さ1.5ⅿほどで根元近くの幹は直径2cmほどである。はてさていかなる対応がかのうだろうか。