NHKドラマ「白洲次郎(第2回)」2009年03月09日

 一昨日の夜、NHKドラマスペシャル「白洲次郎」の第2回(1945年のクリスマス)を観た。
 次郎は家族とともに疎開生活を送っていた。敗戦直後に次郎のもとに外務大臣・吉田茂から終戦連絡事務局参与への招聘の手紙が届く。GHQとの交渉の日本側窓口として次郎の戦いが火蓋を切られる。GHQ要人をして「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた時期である。昭和天皇からのマッカーサーへのクリスマス・プレゼントを届けた際のエピソードが再現される。プレゼントがぞんざいに扱われたことにに激怒する次郎。流暢なブリティッシュ・イングリッシュで感情露わに次郎が叫ぶ。「われわれは戦争に負けたのであって、奴隷になったのではない」 。第2回のタイトルが、このシーンを次郎の人生で最も輝いた瞬間として取り上げたことを物語っている。ドラマの中で次郎がしばしば「自分にしかできないことやり遂げる」と語っている。マッカーサーとのこのやりとりは、まさしく白洲次郎という特異な人生を歩んできた人物をして初めて可能だったのだろう。第2回ドラマが、この劇的な場面で終了した。初回よりも、はるかに見応えのあるドラマだった。
 2回目のドラマでは妻・正子の人生も重要なストーリーとして展開されている。伯爵家に生まれた正子の奔放な生き方と次郎との葛藤がもうひとつのテーマであるかのようだ。骨薫収集家、随筆家でもある正子については、個人的にも気になる人物だった。文学者や作家との交流も多く、「目利きの達人」としても知られている。彼女の眼鏡にかなった作家の一人に車谷長吉がいる。彼は私の小学、中学、高校の同級生だ。彼の直木賞受賞の報道を巡って、私の周囲でちょっとしたドラマがあった。HPで「直木賞作家・級友”車谷君”に捧げる詩」をアップした。http://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/kurumatani.htm