有馬川の除草作業とほっこり2012年08月24日

 今月初め頃から、有馬川の除草作業が始まった。夏真っ盛りの時期の恒例の作業である。有馬川に沿って北の山口町と道場町平田の境から始って順次南の端まで続けられる。川床や両岸の生茂った草の除草が10人ほどの作業員と小型ショベルカーを動員して行われる。
 昼休憩時に新天上橋たもとの木陰で休息している作業員たちの姿を見かけた。多くは中年以上の男性だが、ひとりの若い黒人男性の姿が目についた。日本人作業員たちから少し離れた場所でペットボトルを片手にひとり横になって休んでいた。出稼ぎ労働者なのだろうか、炎天下の異国での過酷な作業に耐えている若者の心情を想った。
 今朝、除草されてすっかり見通しの良くなった有馬川の土手道を歩いていた。川床にはまもなく始まる作業を待っているショベルカーがスタンバイしていた。愛宕橋のたもとにやってきた。何気なくタモの木の根元に視線を移して驚いた。除草されて何もない筈の土手に数本の薄いピンクの百合に似た花が目に飛び込んだ。
 ショベルカーの爪をかいくぐって生き延びた筈はない。作業員の誰かが丹念にこの花の回りを手で刈り取ったのだろう。それはこうした事態にあって作業員たちのコンセンサスとして定着した日本的な作業手順のように思われた。散歩道のこの光景がほっこりした気分をもたらした。ふと思った。おそらくこの場面に出くわした筈のくだんの黒人の若者は、どのように受け止めただろう。