リタイヤおやじの梁山泊2012年10月12日

 先日、民生委員の高齢者訪問であるお宅を訪ねた。70代半ばのご主人と玄関先でおしゃべりした。昨年の訪問で初めてお会いし、雑談した方だった。「経営者として現役生活が長かったが、ようやく第一線を退きゆとりができた」とのことだった。
 今回、訪問した時には、「完全にリタイヤし、時間はたっぷりできた。地域には全く関わりのない生活だったので、老後の過ごし方に少し戸惑っている」といったことをお聞きした。「ぜひ地域の交流を始めて下さい。手始めに次回のふれあい喫茶にお誘いします」とお話した。
 一昨日、約束通りお誘いして一緒に自治会館のふれあい喫茶に出かけた。社協ボランティアの無料のコーヒー、日本茶、ケーキを戴きながら打ち解けたお喋りをした。世相の受け止め方や読書体験など共有する部分が多く大いに意気投合した。
 リタイヤしたオヤジたちの地域での繋がりが話題になった。主婦たちの強力なネットワークと地域での密着度合いに比べ、オヤジたちはなんとか細く希薄なんだろう。今後どんどん団塊世代のリタイヤおやじたちが地域に戻ってくる。孤立無援で地域に戻ったおやじたちは引籠りにすら陥りかねない。そんなおやじたちを前に、迎えうつ主婦たちの「この嵩高い亭主を何とか家から引っ張り出せないものか」とあちこちで悲鳴が聞こえる。40数年に渡ってシャニムニ家族のために働いた末の境遇がこれでは余りにも浮かばれない。
 何とかおやじたちの地域での気楽な居場所ができないかと話題が飛躍する。そういえばこの街に引っ越してきた当座に近所付合いでバーベキュウをした時の付き合いがあった。地域のテニスやゴルフのサークル仲間の繋がりがある。民生委員としての関わりや人脈もある。そうした人脈を駆使して近所の居酒屋での吞み会を呼び掛けたらどうだろう。世間からはじき出された男たちが立てこもって時の権力に立ち向かったという「水滸伝」の梁山泊のイメージが浮かんだ。下手をすると地域からはじき出されかねないリタイヤおやじたちが、地域を席巻している主婦たちに反攻の狼煙を上げる砦を造ろう。実際はそんなにカッコよくも勇ましくもない。主婦たちの悲鳴ととばっちりから避難できる地域での居場所づくりを自分たちで造れないものかという程度のささやかな企みでしかない。それはそれで大いに盛り上がるのだから応分の背景はある。はてさてどんな展開になるだろう。