道トモさん2012年11月03日

 いつもの有馬川沿いの堤を歩いていた。6時半頃の肌寒い早朝の散歩道だった。中国道の高架下を超えたところで突然、背後から「おはようございます」と声をかけられた。振り返るまもなく追いついた人は、同じ丁内の同年輩の女性だった。黒いスポーツウェアに身を包み帽子を着用したジョギングスタイルだ。それまでも何度かこのコースで顔を合わせて挨拶を交わしていた。先月の民生委員の高齢者訪問で、「有馬川の歩道で顔を合わせてるじゃないですか」と言われてようやく顔と名前が一致した。「女性は場所と服装の違いですっかり印象が変わるもんですね」と弁解じみた言葉を返した。
 そんなことがあって以来の遭遇だった。しばらく雑談しながら歩いていると、今度は向こうから赤いヤッケにバイザー着用の女性がやってきた。先日このコースで二羽のカワセミをみつけた感動を共有したあの女性だった。彼女も高齢者訪問で訪ねているひとりだ。面識のある女性同士の久々の邂逅だったらしく挨拶もそこそこに一気におしゃべりが始まった。途端に私の存在感は雲を霞と消え去った。こうなるといかにもバツが悪い。言葉を挟むのもはばかれたのでそっとその場を離れた。
 有馬川堤の北の端で折り返すいつものコースを終えて、愛宕橋まで戻った。その時だ。ずっと前方の堤に赤と黒の二つの姿が目についた。もちろん先ほどの二人だった。あれから10数分は経っている。一歩も動かず二人はおしゃべりの世界に浸っている。何の話があるのか男には想像の埒外である。ただ、リタイヤ以降、数々のオバサントークの洗礼を受けた身には、彼女たちのそうした行動パターンは決して不可解ではない。ブログネタを思いついて遠望をキャッチした。
 散歩道にも様々な出会いがある。それぞれに束の間の散歩に潤いをもたらしてくれる。こんな出会いを何と呼ぶのだろう。「道トモさん」とでも呼んでおくことにしよう。

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