さらば立ちション!エピローグ2015年10月07日

 さらば立ちション!を宣言し、即実行に移してから一カ月が過ぎた。以来、あちこちの酒席の与太話で話題にしている。当然ながら主婦歴の永い女性陣からは好感をもたれる。反面、リタイヤオヤジからは概して評判が悪い。後期高齢者たちにはそれほどでもないが、リタイヤ直後の若手?からは総じて顰蹙を買うことが多い。
 よく聞くと、夫婦二人の老後生活が永いほど亭主族は白旗をあげて立ちションとおさらばしているようだ。リタイヤ直後のオヤジたちは現役時代の力関係を過信して今尚「男の沽券」にこだわっている。
 ところでなぜ亭主のリタイヤとともに洋式トイレの立ちション紛争が勃発するのだろう。考えてみれば当然である。嫁からすればある日突然亭主と称する嵩高い存在が、それまで我が世の春を謳歌していた我が家に居座るわけである。それだけでもうお先真っ暗な気分に襲われる。そんな気分で洋式トイレの掃除をしていて異変に気づくのに時間はかからない。亭主の現役時代とは比較にならないほどの汚れや匂いに愕然とする。日がな一日我が家で過ごす亭主である。現役時代との使用頻度の違いは歴然としている。ただでさえ存在自体がストレスなのだ。そのストレスの塊が更にトイレの汚れと匂いを拡散させているのである。
 亭主のリタイヤ後の夫婦生活は家事分担はイーブンではないか。平等の家事分担までは無理でもせめて嫁の過大なストレスには応分の理解があって然るべきではないか。かくして、立ちションを辞めるかトイレ掃除を受入れるかという選択肢を非情な覚悟で亭主に迫ってくる。この迫力に多くの善良な亭主族は白旗を掲げるほかはない。