BS朝日「新にほん風景遺産」―北上・西和賀―2015年07月29日

 昨晩、BS朝日で「新にほん風景遺産」というシリーズ番組を初めて観た。今回の「奥羽山脈の秘境・秘湯をゆく~森の恵み水の里 北上・西和賀~」というタイトルに魅かれた。
 ここ半年以上、古代・奥州を舞台とした高橋克彦の歴史小説に嵌っている。阿弖流為や安倍一族や奥州藤原氏の物語である。舞台となるのは苛酷で豊饒な大自然に包まれた陸奥の国である。作者の描く大自然の描写を読みながら知らず知らずにその情景を想像してしまう。その奥州の大自然、風物、伝統が映像として写しだされるという期待に胸ふくらませた。
 番組の舞台となったのは岩手県中西部の北上市西和賀地区(旧・西和賀町)である。高橋作品の主要舞台である陸奥国奥六郡のひとつ和賀郡とほぼ重なる。俳優・石丸謙二郎が新緑の奥羽山脈、みちのくの秘湯・秘境をめぐる二泊三日の旅をする番組だった。アイヌ語のクッ・オ(崖のあるところ)を語源とする秘湯・夏油(げとう)温泉や西和賀の隠れ家的な「湯川温泉」などが紹介される。山々の雪解けが沢に集まる清流や、真昼岳の山懐のブナ林の散策や奥羽山脈屈指の名爆・真昼大滝を目指す険しい山歩きなどの大自然を満喫する旅でもある。   高橋作品の舞台に想いを馳せながら60分足らずの番組に癒された。