春の足音2014年03月23日

 冷気の中に朝日のぬくもりが感じられる散歩道だった。有馬川沿いのさくら並木の枝を包む樹皮が瑞々しく光っていた。膨らんできた蕾の先端にうっすらと白い花弁が息吹いていた。
 行く手に散歩途中の二匹のボダーコリーが遭遇するのが見えた。オジサンの連れたボーダーコリーに若い主婦が連れたボーダーコリーが吠え立てた。二匹を分けながら飼い主たちの会話が始まった。犬友さんたちのおしゃべりを耳にしながらすれ違った。
 名来橋の袂から丹波街道に向かう畦を進んだ。枯木の枝間からウグイスの鋭い鳴き声が聞こえた。鳴き声は耳にしても姿を見ることはほとんどないウグイスである。鳴き声の聞こえた枯木の中で飛び交う野鳥の姿を目にした。ウグイスに違いない。デジカメの焦点を合わせてズームアップした。枯れた小枝越しにウグイスのくすんだ姿を捉えた。
 住宅街に帰ってきた。さくらの枝にシジュウカラが一羽、朝の陽光の中で孤高をかこっていた。春の足音が聞こえてきそうな朝の散策だった。