NHK日曜討論「どうする少子化 子育て支援は 社会のあり方は」2019年03月24日

 NHK日曜討論「どうする少子化 子育て支援は 社会のあり方は」を観た。幼児教育・保育を無償化するための法案の審議が始まっている。こうした動きを念頭に7人の専門家による60分の討論番組だった。この法案には様々な意見があり、個人的にも賛同し難いと思っている。そんな気持ちもあって興味深くこの番組を視聴した。結論的には様々な角度からの課題の整理という印象であり、踏み込んだ方向性は示されなかった。
 幼児教育保育の課題は、端的に言えば①待機児童対策②保育の質の確保③保育費負担の軽減という3点である。
 待機児童対策は保育園増設という量的な対応が欠かせないが、施設や保育士の確保が全く追いついていないのが現状だ。保育の質の確保は保育士の絶対数不足で質の低下が懸念されている。認可保育園と無認可保育園の質の格差も深刻だ。保育費負担の軽減はそれ自体は反対するものではないが、それに伴う副作用が大きい。無償化に伴いより多くの親たちが低額保育料で長時間保育が利用できるようになる。その結果、待機児童は増大し、一層保育士不足が発生し、保育の質は低下する。つまり上記課題の③を優先することで①②を悪化させることが必至だ。優先順位は保育士の処遇改善とセットでの保育士確保による質の確保であり、それを前提とした保育施設の拡充だ。
  幼児教育・保育の無償化法案は、幼児教育・保育の実態を踏まえた今後の在り方の全体像からは乖離していると言わざるをえない。この番組はあらためてそのことを認識できるヒントをもたらした。