不当労働行為審査の初めての主尋問立会い2008年12月12日

 労働委員会の不当労働行為審査の審問の場に初めて立ち会った。私が最初から担当したある事件が、過去5回の調査を経て審問を迎えた。今日はその第1回目の主尋問だった。
 不当労働行為の審査は「申立て」「審査委員(公益委員)、参与委員(労働者委員及び使用者委員)の選任」「調査」「審査計画策定」「審問」「合議(公益委員会議)」「命令交付」という流れで行なわれる。その流れの中で和解の可能性についても模索される。労働委員会が関与し、また当事者間の自主的な判断で和解ができればそれに越したことはないからだ。
 審問はそうした一連の審査活動の最終局面である。審問は尋問と最終陳述書提出をもって終結(結審)する。尋問は「主尋問」と「反対尋問」に分かれる。主尋問は証人尋問を申出た当事者が自己の主張を具体的に裏付けるために行なう。申立人(労働者側)証人に対し申立人代理人弁護士が、被申立人(使用者側)証人に対し被申立人代理人弁護士が各々尋問する。
 今日の尋問は主尋問であり、その意味では証人と尋問者は同じ側の立場であり、事前に十分打ち合わせたシナリオに沿って進められる。尋問の場はテレビ・ドラマ等で見る法廷風景のイメージである。正面の席には審査委員が着席し向って右手に参与委員2名が、向って左に事務局が着席する。右壁面の席には申立人が、左壁面には被申立人が着席する。審問は公開が原則であり、そのため部屋の後方壁側には傍聴人席が設けられている。そして審査委員の前には証人席が設けられている。
 尋問は審査委員が進行する。審査委員が証人に宣誓を求め、その場の全員が起立して宣誓を聴く。審査委員から証言に当たっての注意事項が告げられ、いよいよ尋問開始となる。こうした場面での証人はさすがに緊張感から免れないようだ。宣誓文を持つ手が小刻みに震えている。事前打合せに従った主尋問ですらしばしば緊張感で言葉にならない場面もある。次回の相手側からの主尋問の弾劾を目的とした反対尋問での緊張感はいかばかりかと思ってしまう。
 私自身にとっても貴重な体験の初めての尋問だった。