村社会の福祉活動2015年12月03日

 社協の山口分区と北六甲台分区にそれぞれ所属している山口地区の二つのボランティアセンターの2回目の交流会が昨日開催された。今回は北六甲台分区のボランティアセンターのある北六甲台安心プラザで開催された。
 朝10時半から旧地区9名、新地区11名の20名のボランティアコーディネーターが参加した交流会は予定を30分も越えて12時半に終了した。双方が準備したお菓子を頂きコーヒーを飲みながら、両地区の活動報告、参加者自己紹介、懇談といったテーマで和やかに進められた。
 印象的だったのは、旧地区代表からの福祉活動を巡る現状報告だった。旧山口地区で、福祉活動を展開する上での制約や困難さが率直に述べられた。旧山口地区の歴史は大化改新の頃にまでさかのぼる。その歴史の深さ故に村社会の伝統や風土が色濃く残る。古くは「惣」と呼ばれて形成されてきた村落は、氏神の行事や寄合いや掟を通じて自治を行ってきた。「村八分」の掟にも窺えるようにその自治は村社会の隅々にまで及んでいた筈である。村社会の自治は現代においては自治会組織として継承されている。従って旧山口地区での自治会の存在感と影響力は新住民の理解をはるかに越えて大きいものがある。村社会では地域での地縁、血縁の結びつきが大である。幼なじみどうしでの横のつながりも強い。要するに昔ながらの「地域コミュニティ」が今尚息づいている。それだけに村社会での福祉活動は難しい。相互扶助という分野は村の自治の主要な柱だったのだろう。なぜ社協という組織で独自に行う必要があるのかという受け止め方なのかもしれない。
 これに対し、宅地造成して新たに開発された人工の街である新興住宅地では一から町づくりが始まる。自治会組織も社協や青愛協などの地域組織と同じように寄せ集めの新住民たちの手で手探りで作らねばならない。勢いそれぞれの組織はその目的に沿って機能分担がはかられる。ともすれば役員が1~2年ごとに入れ替わる自治会組織に比べ地域組織は役員の継続性もあり組織基盤も維持される。とりわけ社協分区は高齢化の進展に伴うニーズの拡大や危機感から組織の強化が図られつつある。
 旧地区の抱える背景や事情を伺って、旧地区の伝統文化や風土への憧憬とは別に、福祉の社会化という課題を達成する上での新興住宅地の恵まれた環境を想わずにはおれなかった。