ある民生委員の活動日誌2016年08月17日

 今年の12月1日をもって3年任期の民生委員が全国で一斉に改選される。新たに民生委員に就任予定の知人や友人の情報がチラホラ伝わってくる。民生委員就任9年目を迎えた私にその活動内容を打診される場合もある。そこで以前に市の民生委員会広報紙に寄稿した「ある民生委員の活動日誌」と題する以下の記事をブログでも掲載し、打診があった際に紹介することにした。以下はその記事である。

1月某日 健やか赤ちゃん訪問
 朝10時、健やか赤ちゃん訪問で主任児童委員のご婦人と連れ立って訪問先を訪ねた。チャイム音で玄関先に姿を現わしたのは若々しい20代のお母さんだった。お母さんと会話を交わすのは専ら子育ての先輩である主任児童委員さんである。リタイヤオヤジの出番は少ない。挨拶を交わした後は、世代を超えたお母さん二人の会話を見守った。

3月某日 地元中学校の卒業式に来賓参列
 民生・児童委員に就任して以来、地元の小中学校の式典の来賓出席の案内状が届くようになった。出席してみて思い知らされた。式次第の中に来賓紹介があり、一人ひとり名前を呼ばれ紹介される。保護者席には担当地区の保護者も多い。地区の皆さんに児童委員であることを伝える絶好の場である。可能な限り参列することにしている。「子供たちの式には行ったことないのに」。帰宅後の妻の皮肉が身に沁みた。

4月某日 社協分区の総会に出席
 社会福祉協議会分区の総会に出席した。今年の総会では「高齢者見守りの推進」をテーマに「安心キットの導入」が提案され承認された。高齢者や児童等の地域の見守りや支援を目的としたとした組織である。民生委員就任とともに分区役員にも就任している。少子高齢化に拍車がかかる現状で、この地域組織の役割は重い。

6月某日 青愛協で知るイマドキの子供たち
 地区の青少年愛護協議会の会合に出席した。会合では地域の児童が通う幼稚園、小学校、中学校、高校の先生方も参加され、時節の行事や子供たちの様子が報告される。報告で気になったのは小中学校での子供たちの問題行動である。中学校では減少化し小学校で増えるという低年齢化が顕著なようだ。児童委員として子供たちの情報に接する貴重な機会である。

8月某日 ご近所のおばあちゃんからの情報
 散歩中にご近所のおばあちゃんに声を掛けられた。「昨晩、チャイムが鳴りモニター越し見慣れないおじいさんから『入れてくれ~ッ』と繰り返された。認知症の方の徘徊のようだった。民生委員さんには伝えておこうと思ったので」。お話を伺い、認知症徘徊者の地域の見守り環境づくりが急務だと痛感した。担当エリアは広く高齢者も3百人を超える。民生委員には地域の皆さんの情報提供がありがたい。

10月某日 高齢者実態把握調査での出来事
 永年車イス生活だったご主人を昨年亡くされたお宅を訪ねた。毎年訪問の際ご夫婦と玄関先で親しく雑談を交わしていた。奥さんからぜひお参り下さいと仏間に招かれた。笑顔のVサイン姿の遺影に手を合わせた。しばらく思い出話を交わし永年の介護生活にねぎらいの言葉を掛けて辞去した。民生委員の職務を越えたふれあいにウルッとしながらこの役職の手応えを実感した。

11月某日 証明事務で状況確認書を作成
 近所のご主人が来訪され申請書を渡された。児童扶養手当受給者の現況届だった。民生委員の状況確認書に署名捺印してもらい、届出書類に署名捺印してお渡しした。民生委員の役割のひとつである証明事務である。

 12月某日 地区民児協の忘年会
 恒例の地区民児協の忘年会に出席した。毎月の定例会の淡々とした議事進行と違って、年に1度の忘年会は委員相互の忌憚のない意見交換ができる貴重な機会である。所属の地区民児協は旧来の街と新興住宅街の委員の混成部隊である。交流は進んでいるが、住民間の垣根は尚残されている。忘年会の懇親を通じて新旧住宅街の風土や意識の違いを理解できたことも民生委員という役職の賜物である。

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