船坂の元気2009年06月08日

 山口町に船坂という地区がある。16世紀末の太閤検地以来、名来、下山口、上山口、中野、船坂の五ケ村が山口の村域として数えられていた。とはいえ船坂は、他の四カ村との地理的な隔たりや歴史的な発展過程や気候風土の違いから、船坂は独自の生活文化圏を形成してきたと思われる。
 その船坂が今元気だ。昨春に「船坂盛り上げ隊」という自由参加の組織が生まれた。自治会等の既存組織の枠を超えた情報共有のネット新聞「船坂新聞」が10月に創刊され、以降毎月定期発行されている。船坂新聞創刊号では船坂盛り上げ隊の役割を「船坂で行われる諸行事を支援したり情報を共有したりしながら、船坂を盛り上げる助っ人的役割を担っていきたい」と記している。船坂新聞は船坂の様々な行事やイベントをいきいきと伝えている。ふれあい広場 (音楽会・運動会・盆踊りなど) 、山王神社秋祭り、茅葺き屋根の古民家再生の取組み、船坂小学校存廃問題の報道、里山芸術祭の企画等々である。今は廃業となった寒天作りの聞き取りや「船坂がたり」という特集での歴史的な事跡の報道も活発だ。地域の歴史・伝統文化・風俗風土を大切に守り伝えようという意欲が伝わる。
 同時に船坂で次々に企画され、実行されている行事やイベントが、地域の人たちの新たな交流やつながりを生み出しているだろうことも見逃せない。既存の組織の枠を超えた連携や協働が生まれているに違いない。そうした動きを組織の枠を超えて伝えられる船坂新聞の役割も無視できない。過疎化し高齢化していく地域社会にあって、新たなコミュニティーの再生というテーマが乗り越えるべきハードルは限りなく高い。既存組織の連携、世代間の交流、旧住民と新規移住者間の協働などのハードルを着実に越えつつあるかに見える船坂の取組みに目が離せない。