河野和彦著「認知症・家族を救う劇的新治療」2016年08月04日

 在宅ケアに関する書籍を続け様に4冊読んだ。おかげで在宅ケアという分野の全体像が掴めてきた。これを念頭に福祉ネット役員会で「在宅ケアの全体枠組み」と題した資料を提案した。この過程で痛感したのは「在宅ケアの最も一般的で本質的なテーマは認知症ケアではないか」という点だった。認知症とその治療に関する知識が必要だった。
 歴史が浅く臨床事例の少ない認知症治療には確立された治療法がないというのが現状のようだ。そんな中で読み終えた書籍や在宅介護の経験者である知人たちから得た評価の高い治療に「コウノメソッド」という方式があることを知った。コウノメソッドの考案者である河野和彦医師の著作「認知症・家族を救う劇的新治療」を読んだ。
 河野医師の強みは、老年科医、認知症専門医としての30年以上に及ぶ治療経験である。その過程で患者本人と介護家族と誠実に向き合い介護現場の生の情報に学びながら独自の治療法を確立されている。しかもその確立された認知症の薬物療法マニュアルである「コウノメソッド」をブログやホームページで公開し、全国の医師にその処方の実践を勧めている。現在、コウノメソッド実践医は全国で260人以上を数えている。ホームページ上に公開されたコウノメソッドも医師向けの専門分野ばかりでなく介護家族にもわかるような平易で詳細な内容である。
 本書は5章で構成されているが、中心は60頁に渡る第4章の「コウノメソッドの実際」である。 認知症の識別方法、認知症の6つの病型ごとの症状と治療、主要な抗認知症薬の特性や処方が詳細に述べられている。またコウノメソッドのコンセプトが次のように示される。①家庭天秤法(薬の副作用を出さないために介護者が薬を加減する)②介護者保護主義(患者と介護者の一方しか救えないときは介護者を救う)③サプリメントの活用(薬剤と同等、あるいはそれ以上に効果があるサプリメントも併用する)。
 認知症治療に関する基礎的な知識としてはコウノメソッドは不可欠であると思った。ネット情報ではコウノメソッドに対する批判もあるようだが、少なくともこれに勝る体系だった認知症治療は他に見当たらない。またコンセプトに示された基本的考え方も共感できるものである。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ahidaka.asablo.jp/blog/2016/08/01/8144015/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。